アセットバック・ファイナンスとは?ソフトバンクGが活用!

ソフトバンク・グループの決算書類などを見ていると、「アセットバック・ファイナンス」なる謎の用語が登場します。

なんとなくわかるようなわからないような…。

ということで、この記事では、アセットバック・ファイナンスとは何か、ということについて詳しく解説していきたいと思います!

目次

アセットバック(証券)とは?

アセットバックもしくはアセットバック証券とは、アセット、つまり資産を担保とした証券のことです。

対象となる資産としては、不動産ローン、自動車ローン、クレジットローンなど、何らかの定期的なキャッシュフローを生み出す(ローンの返済など)、価値のある資産であれば何でも対象となりえます。

一般的には信用力の高い資産が対象となるため、高格付けの証券となる傾向があります。

不動産担保証券(MBS)などはアセットバック証券の一種と言えます。

アセットバック証券のメリット

発行体が現金を調達できる

発行体は持っている何らかの資産をアセットバック証券とすることで、現金を調達することができます。

現金が調達できれば、新たな投資や借金の返済に充てて金利負担を抑えたりすることができます。

発行体の信用力と無関係

通常、アセットバックの対象となる資産を企業から切り離して、それに対して証券が発行されるため、発行体の信用力に依存しません。

したがって、信用力が低い会社からすると、優良な資金調達の方法となる可能性があります。

財務面の改善

アセットバック証券を用いると、実質的に対象資産を自社の帳簿から削除することができるので、信用リスクを低減させることができます。

例えば、対象資産のローンの支払いが滞った場合でも影響をうけなくなります。

流動性の低い資産を流動化させることができる

一般にはそのまま保有しているだけだと流動性が低い状態ですが、アセットバック証券にすることで一般の投資家に買ってもらうことができるため、流動性が生まれます。

アセットバック証券の例

A社は自動車ローンを扱う会社だとします。

ここで、Bさんが車を買うために、A社でローンを組んだとします。

すると、A社はBさんから、元金に加えて金利を付けた金額を、定期的に返済してもらう権利が発生しますが、現金をBさんに渡す必要性が生じます。

このようなローン契約を繰り返すと、当然A社は現金がなくなってしまうため、困ってしまいます。

そこで、この自動車ローンをパッケージ化して、アセットバック証券として投資家Cに買ってもらえば、対価として得られる現金を使って、また新たな自動車ローンの契約を取ってくることができるようになります。

投資化Cはそのアセットバック証券が持つデフォルトリスク(不払いリスク)などを勘案する必要性がありますが、返済総額より割り引いた額でそのアセットバック証券を買うことができるため、いくらかのリターンを得ることができます。

アセットバック・ファイナンスとは?

アセットバック・ファイナンスは上記の「アセットバック」と「ファイナンス(資金調達)」が組み合わさった言葉です。

つまり、資金調達を行う会社側から見た時に、アセットバック証券を発行して現金を調達することを指します。

アセットバック・ファイナンスの他に、アセットバックト・ファイナンスなど呼び方は色々あるようですが、英語ではAsset Backed Securitiesを使った資金調達なので、アセットバックト・ファイナンスという方が適切かもしれません。

ソフトバンクGのアセットバック・ファイナンスとは?

ソフトバンクグループでは、保有している株式を担保に現金を調達しているようです。

2025年現在、ソフトバンクグループはアーム、ソフトバンク通信子会社、ドイツテレコム、アリババなどの上場株式および非上場株式を担保にしたローンを組むことで、現金を調達しているようです。

しかし、これは対象となる株式の価値が下落した場合に、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があります。また、新たな資金調達やリファイナンス(ローン組み換え、借り換え)に支障をきたすリスクがあります。

現状、ソフトバンクGの財務は健全であり、資産管理に注意を払っているようですが、ムーディーズ社と対立していたり、S&P社の格付けがBB+(ジャンク債扱い)とあまりよくなかったりするのはこの辺りにあるのかもしれません。