【フィンセン文書】マネロン疑惑まとめ
9月21日、HSBCやJPモルガンなど世界の大手銀行が、多額のマネーロンダリングを黙認していたことが明らかになりました。
金融業界の大スキャンダルで、名前の上がった、HSBCやJPモルガンなどの株価が暴落し、一時NYダウが900ドル下落するなど、暴落の一因にもなりました。
この記事では、フィンセン文書とは何か、問題点、不正疑惑のあった銀行などについて解説します。

目次
フィンセン文書とは?
フィンセン文書とは、アメリカの金融当局FinCEN(フィンセン、Financial Crimes Enforcement Network)から流出した文書のことです。
FinCENはアメリカ当局の金融犯罪捜査網として、世界中の犯罪者のマネーロンダリング(資金洗浄)などの反社会的な動きを抑止する役目があります。
各金融機関は、法律上の義務で、顧客の本人確認を徹底して犯罪者でないかどうかなどを確認し、顧客の行動で不審な点があった場合、その情報をFinCENなどの当局に届け出て、犯罪の証拠がある資金移動を止める義務があります。
この当局に届け出る文書を「SAR(不審行動報告書、Suspicious Activity Report)」と呼びます。
フィンセン文書は2121件のSAR(2000年から2017年のものが主)を中心とした2657件の文書によって成り立っています。
フィンセン文書はバズフィード・ニュースが最初に入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に共有され、世界88ヵ国108の報道機関(日本からは朝日新聞・共同通信が参加)が分析しました。
疑惑の取引の総額は約2兆ドルで、これほど大規模なマネーロンダリングの実態が明らかになるのは初めてです。
フィンセン文書の問題点
金融当局・金融機関の不正
犯罪者は、犯罪によって得たお金を使うために、お金の出どころを消し、正当なお金だと見せかけるマネーロンダリング(資金洗浄)を行いたがります。
金融当局や金融機関はこのマネーロンダリングを阻止しなければいけない立場ですが、フィンセン文書では、金融当局や金融機関がこの不正なお金の流れを把握しつつ、マネーロンダリングを止めなかったことが明らかになっています。
安全保障
フィンセン文書が流出したことで、アメリカ当局への不審感が高まる可能性があります。
また、FinCENに報告した金融機関や個人が犯罪者から狙われる危険性があります。
不正疑惑のあった主な銀行
HSBC
イギリス最大の投資銀行のHSBCが2013年から2014年にかけて、8000万ドル規模の投資詐欺グループの海外送金を認めていた、とBBCニュースなどの大手メディアが報じました。
ポンジ・スキームとは、出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に還元する、などと言って資金を集め、後から出資した人の資金を前の出資者に「配当」として還元し、頃合いを見て逃げる詐欺のことです。
JPモルガン
アメリカの大手銀行のJPモルガンが所有者を把握しないまま、ロンドンの口座への10億ドル以上の送金を実施していました。
後にこの所有者がFBIの10大重要指名手配犯の1人であることが明らかになりました。
バークレイズ
イギリスの名門メガバンクのバークレイズ銀行が、アメリカ・EUが金融制裁を課した人物の取引を黙認していました。
ロシアのプーチン大統領の側近、アルカディ・ローテンブルク氏はウクライナ問題から、アメリカ・EUから取引禁止などの金融制裁を受けていました。
制裁逃れのため、アルカディ・ローテンブルク氏は高額な美術品を購入するなどしていましたが、その際にバークレイズの口座が使われていたようです。
その他
細かいので詳細には触れませんが、バンクオブアメリカ、シティバンク、ドイツ銀行、ゆうちょなどの名前が挙がっているようです。