アメリカの雇用統計に集計ミス!理由は!?


なんと、2020年4月と5月のアメリカの雇用統計に集計ミスがあったことが明らかになりました。

アメリカの雇用統計の結果は世界で最も注目されている統計データで、世界中の金融市場を大きく動かす材料になっています。

この記事では、雇用統計前後の状況、間違いの内容についてまとめます。

目次

6月5日時点の状況

2020年6月5日、アメリカの5月分の雇用統計が発表されました。

エコノミストが予想した失業率の平均値は19.8%でしたが、結果は13.3%と、エコノミストの予想に反して、かなりポジティブな結果となりました。

なお、この5月分の雇用統計のエコノミスト予測値と実績値の誤差は、歴史上最大の誤差で、誰も予想していなかったポジティブサプライズとなりました。

4月の失業率が14.7%だったため、景気の底が4月でここからは景気回復のサイクルが始まる、と見た投資家が一斉に株買いに走り、NYダウは846ドル上昇しました。

雇用統計結果の修正

翌日の6月6日(土)、アメリカの労働統計局が雇用統計にミスがあったことを公式に認めました。4月の失業率は19.7%、5月の失業率は16.3%に修正されました。

雇用統計は、6万世帯にアンケートを実施し、その結果を集計したものです。

雇用の状況を聞く項目で、本来「一時失業」に分類されるべき回答者が「他の理由」を選択して理由を記述していたのですが、集計の際に誤って失業者としてカウントしなかったことが原因のようです。

労働省は4月分の発表から1ヵ月も経過してからようやく誤りに気付いたこととなり、あまり例を見ない不祥事となりました。

市場への影響

結論から言うと、市場への影響は限定的でした。

結果的に5月の失業率は4月より改善しており、景気の底が4月でここからは景気回復のサイクルが始まる、という見方は不変であったためです。

しかし、世界中の投資家が注目している指標にミスがあったことになり、アメリカの労働省への信頼性が揺らいでしまう結果となりました。