「MBO」とは?ソフトバンクも検討!
2015年9月アメリカのブルームバーグは、ソフトバンクグループの孫正義社長がMBO(マネジメント・バイアウト)を検討したが、出資予定者との条件面で断念した、と報道しました。
このように上場企業であってもMBOが取り沙汰されることがあります。
この記事では、MBOとは何かについて解説します。
目次
MBOとは?
MBOとは、マネジメント・バイアウト(Management Buyout)の略で、会社の経営陣が会社全体や事業の一部を買い取って、経営的に独立する行為のことです。
M&Aの一種に分類され、上場企業全体を買い取る場合は非公開株になります。
これに対し、従業員が会社全体や事業の一部を買い取ることをEBOと言います。
MBOのメリット
経営の自由度が上がる
経営陣が大株主になることから経営に口出しする人がいなくなり、自由な経営が行えます。
上場会社の場合は短期的な成果を求められることも多いですが、MBOを行うとその必要がなくなるため、長期的な目線で経営ができます。
コスト削減になる
上場企業の場合、IRなどの情報開示を行うためのコストがかかりますが、MBOを行うとIRなどを作成する必要性が薄れるため、コスト削減になります。
買収される危険性がなくなる
上場企業をMBOすると、非上場企業になるため買収される危険性がなくなります。
経営再建に役立つ
不要な事業を売却したり、企業全体を売却したりすることで、資金が得られるため、経営再建に役立つこともあります。
MBOのデメリット
監査機能の低下
上場企業から非上場企業になる場合、外部からの目を気にすることがなくなるので、監査機能が低下する恐れがあります。
知名度が下がる可能性がある
上場企業から非上場企業になる場合、世間からの知名度が落ちる可能性があります。
負債を背負う可能性が高い
MBOによって経営陣は会社を買う必要がありますが、大企業のMBOの場合、自己資金だけで実行することはかなり稀で、ほとんどのケースでは資金が不足します。
不足分は外部から調達しないといけないため、会社は投資ファンドや銀行等から投資・融資を受けてMBOを実行します。この時の負債が原因で、後々の経営が悪化するリスクがあります。
プレミアムを払うことが多い
上場企業で会社全体をMBOする場合、幅広い株主から株を買い集めないといけないため、プレミアム(市場の株価からの上乗せ金)を乗せて買い取ることがほとんどです。
したがって、市場評価よりも高い金額を払う必要があります。
MBOの事例
海外
Dell
2013年2月、アメリカのDellはMBOを発表しました。買い手は創業者のマイケル・デル氏でした。
Dellの主業であるパソコン事業が伸び悩む中、株主からのプレッシャーを減らして、大胆な経営改革を行いたい、という狙いがあったようです。
日本
すかいらーく
すかいらーくは、ガスト、ジョナサン、バーミヤンなどのブランドを展開している外食産業の大企業です。
2000年代前半に業績が悪化し、抜本的な改革を進めるために2006年9月にMBOを実施し、上場廃止となりました。
その後、2011年にはアメリカの投資ファンドのベインキャピタルの傘下に入って、不採算店舗の閉鎖や人件費の削減など、経営再建を着実に行い、2014年8月には再上場することになりました。
U-NEXT
U-NEXTはネット上での映像配信サービスのU-NEXT、光回線や格安SIMなどの通信事業を展開している企業です。
元々は音楽配信事業などを行うUSENの傘下の一部門でしたが、USENは有料映像配信サービス事業をU-NEXTとして会社分割し、子会社化しました。
しかし、U-NEXTのユーザが想定したよりも伸び悩んでしまったことと、USENの本業に専念させることを目的に、2017年4月にMBOを実施しました。
U-NEXTがMBO目的のための会社U-NEXT SPC1を立ち上げ、USENの株をTOBし、一度経営者の宇野康秀氏とU-NEXT SPC1のみを株主とし、U-NEXTがUSENを吸収合併する形で、新たにUSEN-NEXT HOLDINGSという会社に商号変更しました。
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