携帯株は長期的に下落すると思う


菅政権が誕生してから、携帯事業を営む通信キャリア3社の株価下落が止まりません。

一方で、高配当株で安定した収益が得られることから、逆張りで携帯株に投資する個人投資家が増えているようですが、個人的には携帯株は長期的に下落する危険性が高いと感じています。

なぜ携帯株が長期的に下落すると予想するのか、について解説します。

携帯株が売りだと思う理由

菅政権が誕生したことにより、かねてより菅総理が求めていた携帯料金の引き下げが実施される可能性が高くなっています。

9月18日、武田総務相が「(携帯料金の値下げ幅が)1割では改革にならない」と発言したことや、菅氏が2018年夏に「携帯電話料金は4割程度引き下げられる余地がある」と発言したことを踏まえると、相当な値下げ幅になりそうです。

現在、通信キャリア3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)の売上に対する営業利益率はいずれも2割程度となっていることから、仮に携帯電話料金が全体で2割引き下げられると営業利益が0となってしまいます。

厳密には、携帯電話料金以外の収入があったり、コストカットなどの企業努力から、必ずしも上記のような計算になりませんが、「1割では改革にならない」「4割程度引き下げられる余地がある」と発言されていることから、利益が大きく圧迫されることは間違いないでしょう。

一般に、将来性が低い(利益が将来的に低くなる見込みが高い)業界は株価が割安に放置される傾向があるため、しばらく携帯3社は売り圧力が強くなると思われます。

また、9月18日現在のPERは、ドコモが15倍、KDDIが10倍、ソフトバンクが12.5倍となっていますが、アメリカの携帯会社(AT&T:17.8倍、Verizon:13.1倍)と比較してもそれほど変わらない水準にあります。

経済成長が期待されていない日本よりもアメリカの方がPERが高めに推移しやすい傾向があること、日本の携帯会社は値下げ圧力がかかっていることを踏まえて考えると、日本の携帯3社は少し割高感があります。