NTTはNTTドコモを買収!目的は?


9月29日、NTT(日本電信電話株式会社)がNTTドコモを完全子会社化することを発表しました。

直近、菅総理が携帯料金の値下げ圧力をかけており、通信キャリアが今後どういう戦略をとるのかについては注目度が上がっていました。

ここでは、なぜNTTがドコモを買収したのかについてまとめます。

買収報道の概要

NTT(日本電信電話株式会社、9432)はドコモ(9437)を完全子会社化するため、TOB(株式公開買い付け)を実施し、市場流通分のドコモの株式を1株3900円で買い集めることを決定しました。

前日の終値が1株あたり2775円だったため、約40%のプレミアを上乗せして買収することになります(買収総額は約4.2兆円)。

国内企業では過去最大のTOBになります。

元々、NTTはドコモの株式のうち64.1%を保有していましたが、TOBにより、ドコモはNTTの100%子会社となり、上場廃止になる予定です。

NTTの狙いは?

ここでは、NTTがなぜドコモを買収するのか、その狙いについて報道されている内容や独自の分析を行いたいと思います。

NTTの発表

9月29日のNTTとドコモ合同の会見では、「NTTドコモの競争力強化・成長」と「NTTグループ全体の成長」を目的として、NTTドコモを買収する、と発表しました。

「ドコモは、NTTコミュニケーションズ・NTTコムウェア等の能力を活用し、新たなサービス・ソリューションおよび6Gを見据えた通信基盤整備を移動固定融合型で推進し、上位レイヤビジネスまでを含めた総合ICT企業へと進化」することを目指す、としています。

また、会見では、NTTグループ一丸となって、GAFAなどの海外の巨大IT企業に対抗できる競争力をつけていきたい、との旨の発言もありました。

大手マスコミの考察

携帯料金の値下げの実現

ドコモを完全子会社化することにより、NTTのガバナンスを強化し、菅首相が掲げる携帯料金の値下げに対応するのではないか、と言われています。

実際、NTTの澤田社長は値下げに前向きな姿勢を示しています。

5Gの促進

直近、5Gが話題になっており、その設備の更新が必要な局面になっています。

移動通信の5Gは、既存のNTT東日本やNTT西日本の固定回線とも競合する概念であるため、設備の資材調達や研究開発を統合化することで、効率的に5G化が実現できる可能性があります。

独自の考察

政府の意向に沿いやすくなった

今までのドコモの株はNTTが約64%、残りの約36%をNTT以外の株主が保有している状況にありました。

したがって、ドコモが政府の意向に従うことは、株主全体の利益を考えると難しい状況にありました。

しかし、ドコモを完全子会社化すると、NTTの株式のうち約34%を財務省が保有している状況であるため、実質的にドコモに対する政府の支配権が強化され、値下げなど、政府の意向に沿った経営が行いやすくなった可能性があります。

携帯料金の値下げの回避策?

注意:完全に個人的な憶測の域に過ぎない点にご留意ください。

菅政権および総務省が携帯料金を値下げするよう圧力をかけていましたが、その根拠になっているのは、「携帯キャリアの利益額」や「海外との比較」でした。

ただし、海外との比較では、設備が異なっていたり、通信速度や通信プランなどが異なるため、一意にうまく比較できる方法はありません。

そこで、NTTは意図的に見かけ上の携帯キャリア事業の利益を減らして、政府からの圧力を弱めようと動く可能性があるのではないか、と考えています。

NTTはドコモを完全子会社化したことで、NTTグループ全体の組織再編を容易に行うことができるようになりました。

ドコモは携帯キャリア事業以外にも、dカード/iD/d払いなどの金融・決済サービス、dマガジン、dTV、dショッピング、法人IoTなど様々なサービスを展開しています。それらの事業のうち、利益が出そうな事業をドコモから切り離すような組織再編を行うことで、見かけ上の携帯キャリア事業の利益を減らすことはできそうです。

今までも2年縛り問題や実質0円問題でもしたたかに切り抜けてきた『前科』があるため、ひょっとすると、携帯料金の値下げにはある程度答えつつも、うまく利益を確保する方向にいく可能性もあるのではないか、と思っています。