最近混乱している「レポ市場」とは?


最近、アメリカのレポ市場の混乱が大問題になっています。

レポ市場は短期での資金調達で最も重要な市場であるため、市場安定化のため、ついにFRBがリーマンショック時以降初めて市場介入に踏み切りました。

今後、金融市場に大きな混乱をもたらす可能性もあるので、投資家として、レポ市場については知っておくべきでしょう。

目次

レポ市場とは?

レポ市場を一言で言うと、短期の資金の取引を行う市場です。一般的には「現金担保付債券賃借取引(債券レポ取引)」のことを指します。

買い戻し(売り戻し)条件が付いた債券取引のことをレポ取引と呼び、その市場がレポ市場です。買い戻し条件がついているので、現金を担保に債券を貸し借りする行為に相当します。

日本国内では、主に日本国債を取引対象として現金を担保に債券を貸し借りします。アメリカでは主にアメリカ国債を取引対象にしています。

債券の借り手は現金と金利を借り手に渡し、貸し手は債券と賃借料を貸し手に渡します。

つまり、短期間の資金調達を行う調達コストは、金利から賃借料を引いたものになります。これを一般にレポ金利と呼んでいます。

なお、似たような言葉として、現先市場があります。違いは現金を担保にするか、債券を担保にするか、ですが、基本的な役割に違いはありません。

レポ市場の参加者

レポ市場の参加者は主に金融機関、事業法人、公的機関です。短期的に資金が必要な機関が国債などの安定な債券を対象に資金融通を行っています。

例えば、準備金が少なくなってきた銀行や株や債券の決済日で一時的に資金が足りなくなった機関投資家が短期的な資金を調達するために、レポ市場を使うことがあります。

主な現金の貸し手は資金が潤沢な銀行です。安定的な債券の裏付けがあるのでほぼノーリスクで金利が得られるため、貸し手側にもメリットがあります。

アメリカでレポ市場が混乱した理由

アメリカでは9月末頃にレポ市場の金利が急騰する、という事件が起こりました。

これは、法人税の支払い期日だったことと、大規模なアメリカ国債入札の決済が重なったことから、資金に余裕がある貸し手が少なかったためです。

また、大手銀行のJPモルガン・チェースが大幅にバランスシート縮小を行い、準備金を減らしていたことも要因だと言われています。

直ちに金融市場に影響があるわけではありませんが、調達金利が高くなると、短期的な資金調達が必要な金融機関が困ることになります。

最悪の場合は金融機関の破綻をもたらす可能性があるため、先日、FRBがリーマンショック時以降、10年ぶりに市場介入に踏み切ることとなりました。