ソフトバンク vs ムーディーズ、格付けで対立!


ソフトバンクグループとムーディーズが揉めています。

その理由はソフトバンクグループの社債の格付けにあります。

この記事では、ソフトバンクグループとムーディーズの対立の経緯をまとめます。

目次

概要

ムーディーズが格付けを格下げ

ソフトバンクグループが格付け会社のムーディーズと揉めています。

その理由は、3月25日にムーディーズが信用格付けをBa1からBa3まで二段階引き下げたことが要因です。

ムーディーズの格付けは、上位から、Aaa > Aa(1,2,3) > A(1,2,3) > Baa(1,2,3) > Ba(1,2,3) > B(1,2,3) > Caa(1,2,3) > Ca > C、となっており、投資適格債とされているのは、Baaまでです。

Ba級は「著しい信用リスクと投機的要素があると判断される債務」とされており、投資適格債から外れています。

安定的な運用を行わなければならない年金運用機構などの機関投資家はBaaまでの債権しか購入できない、などの内部規定がある場合もあるため、Ba未満になると債券の引き受け手(投資家)が少なくなり、利払いが増えるため、あまり好ましい状況ではありません。

ムーディーズが格下げした理由

ソフトバンクグループは3月23日に自社株買いと負債削減のために、最大4.5兆円の保有資産売却を実施し、最大2兆円の自社株買いを行う、と発表しました。

これに対し、ムーディーズは、売却する資産はほとんどが換金しやすい上場株になるだろうが、足元の不安定な株式相場で高評価の上場株式を手放すことになると、割安に優良な保有資産を売却してしまうことになり、残った資産価値は低くなるのではないか、という見解を示しました。

このことを理由に、ムーディーズはソフトバンクグループを格下げしました。

ソフトバンクグループが格付けを取り下げ

ムーディーズが3月25日18時42分に格下げを発表した8分後に、ソフトバンクグループはムーディーズから取得していた格付けを取り下げることを発表しました。

その上で、ソフトバンクグループは、今回の資産売却は債務の圧縮と株主還元が目的で、自社の信用力の改善に資するものだと説明し、二段階の格下げは合理性がなく市場を混乱させるだけだとムーディーズを批判しました。

ソフトバンクグループの反論

ソフトバンクグループの説明では、割安に優良な保有資産を売却してしまうことをムーディーズは懸念しているが、最大4.5兆円の資産売却は実際には約27兆円の保有資産(上場株は75%)の中からいくつもの選択肢を持った上で実施する上、仮に高評価の上場株を手放すことになっても、売却後の保有資産のうち70%は上場株で占められるため全く問題ない、としています。

ムーディーズが格付け見通しをネガティブに変更

ムーディーズは3月25日にBa3に格下げし、さらに格下げ方向で見直すと発表していましたが、6月26日にソフトバンクグループの格付けの見通しを「見直し中」から「ネガティブ」に変更しました。

ソフトバンクグループが怒りのIR

これに対し、ソフトバンクグループは「3月25日にムーディーズからの格付けを取り下げて以降、一切の情報提供をしていない」「どのような情報をもとに自社の状況を把握し、信用力評価を行っているのかは不明」と反論するIRを出しました。