新型コロナで日本が「スタグフレーション」に?


新型コロナウイルスの影響で、日本はさらにデフレになるのではないか、という意見がありますが、一部のエコノミストは「スタグフレーション」が起こるのではないかと予想しています。

この記事では、わかりやすく、「スタグフレーションとは何か?」「なぜ新型コロナウイルスでスタグフレーションになるのか」について解説します。

目次

スタグフレーションとは?

スタグフレーションとは、「スタグネーション(Stagnation、停滞)」と「インフレーション(Inflation、物価上昇)」の合成語で、景気が悪化している中、物価上昇が起こる現象です。

通常の景気後退局面では、消費者の購買力が下がるので、デフレ(デフレーション、物価下落)圧力がかかるはずですが、様々な要因から、スタグフレーションが生じる場合があります。

代表的なのは1970年代前半のオイルショックです。

原油価格の上昇で工業が打撃を受け、失業者が増えましたが、原油は様々な物品に使われているため、物価が上昇し「狂乱物価」と言われる事態となりました。

しかし、スタグフレーション下では、景気が悪いまま物価が上昇するので、市民の暮らしはとても厳しくなります。

新型コロナでスタグフレーションが起こる?

一部のエコノミストは、新型コロナウイルスの影響で、スタグフレーションが起こるのではないか、と予想しています。

確かに、不景気になることは確実ですが、なぜインフレが予想されているのでしょうか。その要因を以下にまとめました。

中央銀行のプリントマネー

コロナショックを受け、世界中の中央銀行が金融緩和を行っています。

特に、アメリカの中央銀行のFRBは、比較的安全性が高い国債や社債などの債券だけでなく、CMBSCLOのような不良債権割合が高いとされている債券も買い入れると宣言しており、相当な金額の債券を買い入れる見込みです。

日本でも同様に国債や社債を買い入れています。

市場から債券を買い入れる際、中央銀行は対価となる現金を印刷して市場に供給することになるため、かなり大きな金額のお金が市場にバラまかれることになります。

市場に出回るお金が多くなると、相対的に物の価値は上昇するので、結果的にインフレになるのではないかと言われています。

輸送費の高騰

航空機の種類によりますが、航空機は乗客だけでなく、同時に貨物用のスペースを設けており、物資も輸送しています。

新型コロナウイルスの影響で、航空機の便数が大幅に減っているため、貨物の配送料も値上がりすると予想されます。

輸送費が値上がりすると、最終的には消費者に転嫁されるため、インフレ要因となります。

サプライチェーンの見直し

新型コロナウイルスは第2波、第3波と続く可能性が高いと言われており、企業はリスク分散のために供給網を分散化させることが予想されます。

今までは、例えば中国で製造して部品を仕入れていた会社が、リスク分散のために他国でも製造できるようにサプライチェーンを構築するとすると、構築に費用を要したり、スケールメリットが薄まったりするため、インフレ要因となります。

投資家としての対策は?

主な投資先として、株・債券・金・商品がありますが、インフレへの対策としては、金・商品への投資が良いとされています。

金や商品に対応したETFもあるので、長期投資家の方は自身のポートフォリオに加えるといいと思います。