「テザーコイン」とは?テザー疑惑って?


Tether(テザー)とは仮想通貨の一種で、アメリカドルに固定された価値を持つ仮想通貨です。

テザーは日本人にはあまりなじみがないですが、仮想通貨の価格に大きな影響を及ぼしています。

ここでは、そんなテザーやテザーに関する疑惑について解説します。

目次

テザーとは?

テザーとは、Tether(テザー)社が2015年から発行しているステーブルコインの仮想通貨です。

ステーブルコインとは、法定通貨と価値が連動した仮想通貨のことで、テザーはアメリカの米ドルと連動した価値を持ちます(ユーロ建てのものもあるが流通量が少ない)。

1USDT(テザー)は1ドルの価値があり、この価値を発行体のTether社が保証しています。

そのため価格変動がほぼなく、安定した価値保存が可能である点が最大の利点です。

また、Tether社が発行体&管理者であるため、中央集権的であることも特徴として挙げられます。

なぜテザーを使うの?

現状、仮想通貨は投機目的が取引のほとんどを占めていますが、テザーは価格変動がない上、特に特徴のない仮想通貨なので購入するメリットがあまりないように感じるかもしれません。

しかし、テザーは仮想通貨市場全体の価格形成に大きな影響を及ぼしている、と言われています。

その理由は、中国人投資家の存在です。

中国では、資本流出を防ぐために政府が中国元から外貨への両替を制限していますが、当初は元から仮想通貨への交換は制限されていなかったため、元から仮想通貨に交換して、後で仮想通貨から外貨に交換する中国人投資家が絶えませんでした。

しかし、近年、中国政府は仮想通貨の規制に乗り出し、仮想通貨取引所を閉鎖させました。それでも多くの中国人投資家は海外の取引所を使ったり、SNSを使った個人間取引などで未だに多くの仮想通貨の取引を行っています。

テザーはその抜け道になっていると言われており、香港や韓国の取引所でテザーを一度買ってから、他の取引所でテザーから仮想通貨を購入する、という流れが生じています。

テザーへの疑惑

準備金が存在しない?

テザーはその性質上、換金が可能なように裏で米ドルを保有してその価値を担保しています。

しかし、Tether社はどうやら市場に出回っている量のテザー分の米ドルを保有していないのではないか、という疑惑がかけられています。

もし事実であれば、米ドルと換金できる状態ではないため、テザーの信用が大きく棄損される可能性があります。

事態を重く見た米国商品先物取引委員会(CFTC:アメリカの政府機関)が召喚状を送付するなどしていますが、現状Tether社はコメント控えています。

また、外部による監査を受け入れるとの約束を表明しましたが、監査法人を変更する等混乱をきたしており、未だに実現に至っておりません。

Bitfinex社との黒い関係

Tether社は大手取引所のBitfinex社と提携していますが、Bitfinex社との癒着が懸念されています。

Bitfinexと共謀してテザーを取引所で使えるようにして、実質的に米ドルの裏付けのないテザーを大量に発行しているのでは、という懸念があります。

そもそもBitfinexとTether社は大部分の経営陣に同じ人が就任しているため、共謀は簡単にできる環境下にあります。

また、Bitfinex社のウォレットに着金やTetherの新規発行があると数時間以内に高確率でビットコインの価格が上昇する、等の事象も確認されています。

これらのことから、資産裏付けのないステーブルコインを大量発行している可能性が濃厚ではないか、と言われています。