「タイム・シリーズ・モメンタム」とは?


タイム・シリーズ・モメンタム(Time Series Momentum)は、数ヶ月から1年程の期間でトレードする際には非常に強力なアノマリーです。

この記事では、タイム・シリーズ・モメンタムの理論について解説します。

タイム・シリーズ・モメンタムとは?

タイム・シリーズ・モメンタム(Time Series Momentum)は、Tobias J. Moskowitz、Yao Hua Ooi、Lasse Heje Pedersen氏が提唱した理論で、2012年に論文が発表されています。

結論から言うと、「過去12か月で価格が上昇(or下落)した資産は、次の1年程度も上昇(or下落)を続けやすい」という理論です。

つまり、数ヶ月から1年程の期間でトレードする際には「順張り」すべきだと言うことが、経験則的に証明されています。

論文の概要

株式・為替・商品・ソブリン債などの、58種類の資産の先物取引の過去データを25年以上集め、これらのデータから資産価格のアノマリー(経験則的な法則性)を見つけた。

これを「タイム・シリーズ・モメンタム(Time Series Momentum)」と呼ぶこととする。

各資産価格の過去12か月の超過リターンと将来的なリターンは正の相関性があり、このトレンドは約1年続く。この傾向は様々な資産クラス・観察期間・保有期間にも適用可能な法則である。

なお、タイム・シリーズ・モメンタムはモメンタム効果(Momentum効果)とは異なる概念である。

モメンタム効果とは、直近3-12か月同業他社のパフォーマンスを上回った企業は、翌月も平均的に同業他社のパフォーマンスを上回る傾向がある、というアノマリーのことである。

タイム・シリーズ・モメンタムは同業他社との比較ではなく、同じ銘柄の過去のリターンとの比較を行っている点に注意されたい。

しかし、タイム・シリーズ・モメンタムとモメンタム効果の2つを組み合わせることで、より強いアノマリー投資法が可能となる。