【FX】新興国通貨は儲からない理由!


トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなど、FXでは新興国の通貨を売買することができます。

これらの通貨はスワップポイントが高いため、FX投資家の中にはスワップポイントを狙って、長期投資を行う方も多いようですが、歴史的にはあまり成功しませんでした。

この記事では、新興国通貨への投資が儲からない理由について解説します。

目次

新興国通貨への投資が儲からない理由

実質金利が低い

新興国通貨への投資が儲からない理由の最も大きな要因ですが、「実質金利が低い」ことが挙げられます。

スワップポイントにつられて投資をする個人投資家が多いのですが、それは「表面金利」しか評価していません。

表面金利としては、銀行の預金金利などが該当します。わかりにくい場合は銀行の普通預金の金利だと思って頂ければ結構です。

実質金利とは、表面金利から予想インフレ率を引いたもののことです。

為替への投資を考える際には、表面金利ではなく、実質金利に注目する必要があります。

なぜ実質金利が重要か

新興国は、一般的に物価上昇率(インフレ率)が高いことが多いです。インフレ率が高いと、現金の価値が相対的に下落することになります。

例えば、昨年8月に100トルコリラを持っている人がいたとすると、1本5リラのコーラを20本購入することができました。

インフレ率が10%と仮定すると、今年8月には1本5リラのコーラが5.5リラに値上がりしているため、100リラをそのまま現金で保有していた人は、コーラを約18本しか購入することができなくなります。

この例の場合、外国人投資家の目線に立つと、トルコのインフレ率が10%であれば、10%程度or以上のリターンが得られる投資先がなければ、基本的に投資妙味がないことになります。

逆に、トルコ国内の投資家にとっても、現金をトルコリラのまま保有していると資産価値が目減りしてしまうため、10%程度or以上の利回りが得られそうな投資先を国内で見つけるか、外貨に両替しておいて保存or投資しておくのが正解になります。

したがって、インフレ率10%の国では、原則、債券の利率を10%程度に設定しないと、投資家からお金を集めることができないことになります。

よって、インフレ率の高い国は金利を高く設定しなければいけないため、スワップポイント(実質的に銀行預金金利の概念に相当)は高くなりがちです。

しかし、金利を高く設定してしまうと、借金がしにくくなるため、景気が悪くなりやすくなります。これを避けるため、新興国の中央銀行は金利を上げたがらない傾向があります。

この結果、新興国の実質金利はマイナスが多くなっています。

実質金利がマイナスだと、その通貨の価値は棄損されるため、その通貨は売られやすくなってしまいます。

ちなみに、トルコの場合は、2020年4月で実質金利は-3.1%程度でした。

リスクに弱い

新興国は相対的に信用リスクが低く、通貨価値が大暴落する可能性がかなり高いです。

例えば、経済が止まってしまうと、新興国では金利が高いため、デフォルト率が高くなることが予想されるため、新型コロナショックの際は新興国通貨は一気に売られました。

投資家の中で不安が広がると真っ先に新興国通貨は売られがちなため、新興国自身に問題はなくても世界的にリスクの高まる局面では新興国通貨は売られやすいです。

流動性が低い

新興国通貨は市場での取引量が少ないため、買い要因/売り要因となるような材料が出て、一気に投資家が買い/売りを入れた場合、思わぬ暴騰/暴落が生じるリスクがあります。

一般に、新興国通貨の売り要因となるニュース(悪いニュース)は、買い要因となるニュース(良いニュース)よりもはるかに多く、インパクトも大きいため、新興国通貨を買っている投資家は思わぬ暴落に巻き込まれることもしばしばあります。