【速報】SVB(シリコンバレー銀行)経営破綻!破綻による影響や原因を詳しく解説!

3月11日、SVB(シリコンバレー銀行)が経営破綻したことを一部の報道機関が報じました。

影響はどこまで広がるのか不安視され、市場は株売りで反応していますが、どうなるのでしょうか?

目次

SVBとは?SVBの事業概要

シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank、SVB)はシリコンバレーを中心に展開している、シリコンバレー最大の大手銀行(全米で16番目)です。

シリコンバレーはカルフォルニア州のハイテク産業が集うエリアであることから、SVBのメインの顧客はシリコンバレーに関連したスタートアップやベンチャーキャピタルです。

実際、SVBはベンチャーキャピタルが支えるスタートアップ企業の約半数と取引があるとされています。

親会社は、SVBフィナンシャルグループ(以降は区別せず、単にSVBとします)で、アメリカ市場に上場する上場企業です。

SVBが経営破綻!

FDIC(米連邦預金保険公社)とカリフォルニア州当局が、SVBが経営破綻し、FDICの管理下に置くことを発表しました。

なお、FDICは「保険加入している」保障上限(25万ドル)以内の預金者は遅くとも週明け月曜日までに当該資金を引き出すことができるようになる、としています。

ただし、保険加入している預金者はSVBの顧客の約13%程で、未加入者や保証上限を上回る預金については不確定だとしています。

SVBの経営破綻の原因は?

コロナ禍以降、FRB(アメリカの中央銀行)は企業の資金繰りを支援するため、政策金利をゼロにしたり、市場から債券などの証券を積極的に買い入れるなど、強力な金融緩和を行いました。

そのため、市場では金余り状態となり、スタートアップ企業に大量の資金が流入しました。

シリコンバレー系のスタートアップ企業はその余剰資金をSVBなどに預金していたのですが、銀行であるSVB側からすると預金は利息を付けて返さなければいけない資金です。

そのため、SVBは預金を長期の米国債やMBS(不動産担保証券)などに投資して利ザヤを稼いでいました。

この際のアメリカ国債の金利は1%程とかなり低い状態でしたので、SVBは相対的に低利回りの米国債やMBSに投資したことになります。

一方、コロナ禍を乗り切った現在は、強力な金融緩和・供給網の混乱・ウクライナ情勢などの影響から、欧米は高インフレに悩まされるようになりました。

そこで、需要を弱めてインフレを抑制するため、FRBはこの一年程は大幅な利上げを積極的に行ってきました。

政策金利が上がると、リスクの高いスタートアップ企業には融資・投資が集まりにくくなるため、スタートアップ企業は資金繰りが相対的に苦しくなり、預金を引き出す動きが増えました。

そのため、スタートアップ企業を多く顧客にもつSVBは、預金の引き出し圧力が増大していました。

しかし、SVBが保有していた長期の米国債やMBSは、金利が高い今の状態だと含み損状態となっており、投資した当初よりも安い金額でしか売れない状態となっており、SVBとしてはダブルパンチ状態でした。

この問題に対応するため、SVBは破綻が報じられる2日前に、保有していた210億ドル相当の証券(米国債やMBSなど)を市場で売却したことと、資本増強のために22億5000万ドルの増資を計画していることを明かしました。

しかし、この210億ドル相当の証券はSVBが即時に換金できる資産のほとんどであったため、この計画に対して、市場では信用不安を招いてしまいました。

これを不安視した多くのベンチャーキャピタルが、SVBから預金を引き出すよう指示するなどしたため、取り付け騒ぎのような状態となってしまいました。

また、株価が大暴落してしまったため、増資も難しい状態となり、増資計画は撤回に追い込まれてしまいました。

最終的にSVBは、にっちもさっちもいかなくなってしまい、経営破綻となりました。

参考)銀行という業態はいつでも引き出せるような預金を引き受け、それを中長期で誰かに貸し付けることで利ザヤを稼いでいます。仮に預金が一度に引き出されるようなことになると、貸したお金を回収してこないことには引き出しに応えることができません。したがって、取り付け騒ぎが起きると銀行は外部の支援がない場合、破綻に追い込まれてしまう事例が多々あります。

SVBが破綻したことによる影響は?

現在SVBは身売り先を探しており、複数の大手金融機関や大口投資家が救済買収に関心を示している模様です。

民間企業で解決しない場合、政府がSVBを救済する可能性もあります。

仮に身売り先が決まるようであれば、大きな問題にはならないでしょう。

また、SVBの預金残高は1754億ドルですが、資産が2090億ドルあるため、長期的にはほとんどの預金の返金に応じられるのではないか、と想定されています。

実際、アメリカのサマーズ元財務長官は預金が全額保証される限り、長期的には大きな問題にはならない、と発言しています。

ただし、似たように長期の国債などに投資している他の銀行は経営破綻しないのか?など、銀行業界に対する財務の健全性や流動性懸念が広がる可能性はあります。

例えば、他の銀行に預金を預けている預金者が、自分の預金が引き出せるのか心配して、引き出すような事例が連鎖するような事態になれば、全く関係ない財務が健全な銀行も破綻してしまうリスクがあります。

なお、リーマンショック時には、財務の健全性に対する疑惑が連鎖し、社会全体で信用不安が増大したことから、大きな金融危機が生じてしまいました。

現状はそこまでいくとは思われませんが、同様の事象がまた起きるようであれば、信用不安が広がってしまう可能性があるため、しばらく市場を注視する必要があるかもしれません。