【7月上旬】日本株に大量の売りが出る理由


日本市場は7月上旬に株の売り圧力が強まることが知られています。

現に、近年の7月上旬頃の日本市場は株価のパフォーマンスが悪くなる傾向があります。

この記事では、なぜ7月上旬に株価のパフォーマンスが悪くなりやすいのかについて解説します。

目次

7月上旬に株価が下がりやすい理由

7月上旬に株価が下がりやすい理由として、ETFの分配金捻出による大量売りが発生することが挙げられます。

この大量売りにより、7月上旬前後では株価が下がりやすいと言われています。

なぜ、ETFの分配金がそれほど重要なイベントになるのかの理由についてですが、これは日銀によるETF買いを行っており、対象となっているETFの分配金支払い基準日が7月上旬頃に集中しているためです。

実際、1306 TOPIX ETF1308 上場インデックスファンドTOPIXなどは7月上旬に分配金支払い基準日が設定されています。

なぜ日銀がETFを買っているのか?

日銀は金融緩和を目的として、ETF(株)、REIT(不動産)、国債などの金融資産を市場から買い入れしています。

市場から金融資産を買い入れることで、日銀は市場に大量のお金を供給しています。これにより、物価の上昇(相対的にお金の価値が下がるため)や賃金の上昇を目指しています。

日本の景気低迷が続いたことで、なかなかこの金融緩和状態から抜け出せず、2022年現在、時価で約50兆円分のETFを日銀が保有しているとされ、ほとんどの上場企業で実質的な筆頭株主となっています。

日銀が買い入れるETFについてはある程度公開されており、TOPIXや日経平均といった指数に連動するようなETFが中心となっています(小規模ですが、設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業を中心としたETFなども買い入れ対象になっています)。

なぜ分配金捻出が関係するのか?

ETFの管理者(証券会社系のアセットマネジメント会社が多い)は投資家に分配金を支払うため、支払い基準日に近くなると、その資金を捻出する必要があります。

資金の捻出であれば、あまり市場に影響しないように分散させてゆっくり売却することもできそうなものですが、そういうわけにはいかない事情があります。

それは、ETFの指数との連動性の維持にあります。

日銀が大量保有している指数連動型のETFは、指数との連動性の維持のため、分配金の支払い基準日までは日経先物などの金融商品や現物の株を購入しています。

その購入した日経先物や現物株を、分配金支払い基準日に売却することで、指数との連動性を維持しながら、分配金支払い用の資金を捻出しています。

分配金支払い基準日は投資信託ごとに設定されていますが、日銀の買い入れ対象となっている指数連動型のETFの支払い基準日が7月に集中しているため、7月は株価が軟調になりやすい、というわけです。

この分配金による売り圧力は年々大きくなっており、2022年現在は8000億円以上と言われています。

株価はいつ下がるか?

機関投資家などの大口投資家はこのETF換金売りに注目しているため、先もって空売りなどの売り仕掛けを行っている可能性が高く、分配金支払い基準日後は買い戻しが入る可能性があります。

したがって、分配金支払い基準日だからといって必ず下がる、といった法則性があるわけではありません。

しかし、このイベントへの意識や、8000億円以上の実需売りが発生するため、特定の日に下がることはなくても、その周辺(7月上旬)は売りが発生しやすくなるのは間違いないので、要注意でしょう。