【25935】伊藤園の優先株式とは?

伊藤園は、伊藤園第1種優先株式(25935)という優先株式と、伊藤園(2593)という普通株式の2種類を上場させています。

この記事では、伊藤園の普通株式と優先株式の違いと、買う場合のおススメについて記します。

目次

伊藤園の優先株式とは?

伊藤園の優先株式は、2007年9月に東証一部に上場された株式で、「普通株式に比べて利益の配当を優先的に受け取る権利を有する株式」です。

一般に優先株式とは「普通株式に比べて利益の配当or残余財産の分配、またはその両者を優先的に受け取る権利を有する株式」とされていますが、伊藤園の場合は配当が優先されます。

2020年11月現在、伊藤園の優先株式は、普通株式の配当額の25%増しの配当を受け取ることができます。

また、優先株式の配当金は15円/株が下限となっており、普通株式が無配となっても優先株式には15円/株が優先配当として支払われます。

通常、優先株式と普通株式は交換することができませんが、「優先株式が上場廃止になる」「TOBなどにより普通株式の所有割合が50%を超える」「M&Aの対象になる」などの事象が生じた際には、優先株式1に対して普通株式が1割り当てられることになっているため、残余財産の分配権などの権利上の関係性は対等に設定されています。

アメリカなどの海外では優先株式が上場している場合も多いのですが、現状、伊藤園は日本で優先株式を上場している唯一の企業となっています。

伊藤園優先株式のメリット・デメリット

メリット

配当が増える

優先株式は普通株式の配当×1.25倍の配当を受けとることができるので、配当額が増えます。

優待利回りが良くなる

伊藤園の優先株式と普通株式は共に株主優待を受け取る権利があります。

2020年11月現在、両者とも100株以上で1500円分相当の自社製品、1000株以上で3000円分相当の自社製品を受け取ることができます。

足下の株価を比較すると、優先株式の方が低価格であるため、優先株式を購入した方が優待利回りが良くなります。

配当を受け取る権利が優先される

仮に伊藤園の業績が悪化して配当を出しにくい状況になるとしても、優先株式の場合は優先的に配当を受け取ることができます。

デメリット

議決権がない

ほぼ唯一かつ最大のデメリットです。

優先株式には議決権が付与されていません。

流動性が低い

主に機関投資家は普通株式を売買するため、優先株式は普通株式に比べて流動性が低い状況です。

ただし、個人投資家が100株~1000株買う程度であればほぼ問題ないでしょう。

普通株式・優先株式のどちらがおススメ?

個人投資家であれば議決権はほとんど必要ないので、配当・株主優待を重視して、優先株式を購入することをおススメします。

ただし、優先株式の株価は普通株式をアンダーパフォームしてきた歴史があるので、キャピタルゲインの観点ではどちらがおススメとは言えない状況です。

伊藤園の普通株式・優先株式のチャート

伊藤園の普通株式・優先株式の5年チャートを以下に示します。

上が普通株式、下が優先株式です。

伊藤園の普通株式(2593)の5年チャート
伊藤園の優先株式(25935)の5年チャート

年々、株価の差が広がってきており、現在では優先株式は普通株式の3割程度の価格で推移しています。

本質的価値としては優先株式の方が高いはず(最悪の場合でも交換比率は普通株式:優先株式=1:1)なので、首をかしげざるを得ない状況です。

なぜ優先株式が割安なのか?

インデックスに採用されない

TOPIXなどのインデックスには普通株式が採用され、優先株式は採用されないため、TOPIX連動型の投資信託などに自動的に組み入れられる機会がありません。

知名度が低い

優先株式という仕組みがあまり理解されていないため、投資対象として回避される傾向があります。

説明責任

機関投資家の運用担当者は、上司や出資者に対して説明責任を負っています。

優先株式を購入する場合、「なぜ議決権のない株を買うのか」の説明を上司や出資者にしなければならないことがあり、わざわざ1銘柄のためにそこまでするのが面倒だ、という理由で忌避されている側面もあるようです。