「購買力平価説」とは?絶対的と相対的の違い


購買力平価説(PPP)は長期の為替レートを予測する上で参考になる概念です。

かなり著名な指標で、GDPの比較などでも購買力平価を基準に比較されることもあります。

この記事では、購買力平価説とは何か、絶対的購買力平価と相対的購買力平価の違い、について解説します。

目次

購買力平価説とは?

購買力平価説とは、「同一時点における同一の商品・サービスの価格が、どの国でも同じになるように、為替レートは推移する」という考え方です。

購買力平価説は、PPP(Purchasing Power Parity)とも呼ばれます。

有名な指数として、ビックマック指数がありますが、これも購買力平価説の概念が活用されています。

ビックマック指数は、ある時点での全世界のマクドナルドのビックマック1個あたりの値段を比較することで、「為替レートの理論値」や「国の経済力」を計算しよう、というものです。

絶対的と相対的の違い

購買力平価には、絶対的購買力平価と相対的購買力平価があります。これらの違いについて説明します。

絶対的購買力平価

絶対的購買力平価は、上記の購買力平価説を基に、国ごとの物価水準から為替レートを算出するやり方です。

先述のビックマック指数はこれに該当します。

例えば、日本で1個390円のビックマックが、アメリカでは1個5.7ドル程度なので、ビックマック指数に基づくと1ドル=約64円が妥当な水準ということになります。

相対的購買力平価

相対的購買力平価は、為替レートは自国と外国のインフレ率の差によって決まる、という考え方です。

例えば、A国の物価上昇率が年間2%だとすると、A国の通貨の価値は相対的に年間2%目減りすることになります。B国の物価上昇率が年間10%だとすると、B国の通貨価値は年間10%目減りすることになります。

この時、A国とB国の元の為替レートが1A=100Bだとすると、翌年は0.98A=90B(つまり1A=91.8B)でないといけないことになります。

購買力平価の問題点

購買力平価は国に応じて状況が異なるため、必ずしもうまくいきません。

絶対的購買力平価のビックマックの例の場合を考えます。

「日本だと密集していて輸送費が安いが、オーストラリアは国土が広くて輸送費が高い」「原材料となるレタスは日本では補助金があまり出ていないので高いが、〇〇国では補助金が出るので安い」「食料が安く手に入るブラジルでは原材料費が安いが、クウェートでは輸入に頼っているので高い」、など様々な場合が考えられます。

相対的購買力平価の場合も、例えば関税の金額に応じて物価上昇率等も変化するため、必ずしもうまくいく指標であるとは言えません。