「ボルカールール」とは?金融危機の予防策?
ボルカールールはリーマンショックの反省から生まれたルールで、投資銀行業界に大きな影響を及ぼしている規制です。
ボルカールール自体は2010年に、FRB元議長のポール・ボルカー氏が提唱した案でしたが、先月トランプ政権はその緩和を行うことを発表しました。
ここでは、そんなボルカールールについて詳しく説明します。
目次
ボルカールールとは?
ボルカールールとは、預金を扱う金融機関(投資銀行など)がリスクの高い自己勘定取引やファンド出資を行うことを規制するアメリカのルールです。
2008年に起きたリーマンショックの反省から、金融危機の再発を防ぐために2010年に成立したドッド・フランク法(金融規制改革法)の中核として提案されました。
FRB元議長のポール・ボルカーが提唱したものであることから、この名前で呼ばれています。
なお、ボルカールールはアメリカの金融機関だけでなく、アメリカで業務を行う外国企業も対象になっています。
なぜボルカールールができたの?
2008年のサブプライムローン問題、リーマンショックでは、投資銀行などの金融機関のレバレッジのとりすぎが金融危機を拡大させる要因となりました。
当時、多くの金融機関が破綻の危機に直面しましたが、巨大すぎてつぶせない金融機関もあり、公的資金投入による救済が相次ぎました。
公的資金は税金が原資であるため批判も多く、「大きくて潰せない金融機関は安定した経営が求められる」という認識が広がりました。
一方で、ゴールドマンサックスなどの大手金融機関は制限が強すぎるとして、ボルカールール緩和を目指してロビー活動等を行ってきました。
トランプ大統領が緩和に踏み切った理由
市場の流動性を高めたかった
ボルカールールは基準が曖昧な箇所が多く、金融機関がルール違反ではないことを証明する必要があり、事務コストやトレーダーへの負担が大きくなっていました。
したがって、ボルカールールの規制を緩和することで、トレーダーの自由度が高まり、市場の流動性が高まることが期待できます。
市場の流動性が高まれば、取引が活発になるため、景気の向上が期待できます。
一方で、リスク取引が増えることで、次の金融危機を助長しかねない、との批判もあります。
公約を実現したかった
ボルカールールの規制緩和はトランプ大統領が公約としていたため、自身の政策実行力をアピールするために緩和を実行した、という側面もあります。
特にボルカールールはオバマ前大統領の主要政策の一つであったため、これをつぶすことで、自身の政策実行力をアピールしたかったのでは、と言われています。
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