「自律制御システム研究所(6232)」企業分析・銘柄分析
株式会社自律制御システム研究所(6232)は、産業用ドローンの研究開発を行い、社会に実装している企業で、マザーズに上場している銘柄です。
この記事では、自律制御システム研究所の将来性、事業内容、売上、利益、社員数、年収などの銘柄情報をまとめます。
目次
自律制御システム研究所の会社概要
基本情報
社名:株式会社自律制御システム研究所
略称:ACSL
証券コード:6232
セクター:機械
上場市場:マザーズ
設立:2013年11月
上場日:2018年12月
事業概要
自律制御技術(「自ら考えて動く」技術)を始めとしたロボティクス技術の研究開発を行い、それらの技術を社会実装している企業です。
主な事業は、産業向けの飛行ロボット(ドローン)の自社開発、ドローンを活用した無人化・IoTシステムの開発およびそれらの生産・サービス提供・保守です。
産業用ドローンは、物流、点検、防災、農業、空撮、測量などの分野で活用されています。
最先端の制御技術の通信・ソフトウェアの制御パッケージ、プラットフォーム機体、その他システムを1社で提供しており、特注にも対応していることがこの会社のウリです。
自社技術
Visual SLAMや非線形制御の自社技術を保有しています。
SLAM(自己位置推定・自動マップ生成技術)とは、機械が「どこにいて」「どのように動くべきか」「周辺の環境がどうなっているか」を理解することができる技術のことです。
非線形制御とは、物理現象が線形の方程式で表すことができない対象(例えば、ドローンでは空気摩擦、コントローラとドローンの通信時間の遅延、風の影響など)をうまく制御(コントロール)する技術のことです。
企業の概況
原則3月期(4月1日から翌3月末)の結果を表示していますが、2015年のみ1月期(2014年2月初~2015年1月末)を示しています。
売上
自律制御システム研究所の2015年度から2020年度の売上高をグラフにまとめて示します。
増収傾向にあり、将来的な成長が期待できる領域であることから、将来性は高いと言えます。
経常利益
自律制御システム研究所の2015年度から2020年度の経常利益をグラフにまとめました。
現状は経常利益は安定していないようですが、売上の伸びにつれて利益も増えることが期待できるため、今後利益が伸びるかどうかに注目です。
黒字体質が継続できるのであれば投資家からの評価も上がるのですが、現状はまだ投資を重視しているフェーズ、という印象です。
社員の状況
社員数
あまり社員の数は多くないようですが、今後陣容の拡大に伴い増加していくことと思われます。
平均年収
2019年度の平均年収は610万円、2020年度の平均年収は640万円(賞与及び基準外賃金を含んだ金額)です。
それほど高くもなく、安くもなく、という印象です。
平均年齢
平均年齢は2019年度が37.2歳、2020年度が37.0歳と平均的な会社です。
平均勤続年数
平均勤続年数は2019年度が2.2年、2020年度が2.7年とかなり短いです。
これは、創立からあまり時間がたっていないこと、従業員数をどんどん増やしている最中であること、を考慮するとそれほど問題はないと思われます。
将来の展望
長所
1社でドローンの最先端技術のソフトウェアから機体の製造、周辺サービスを提供できる能力がある会社です。
現状はドローンの市場規模はそれほど大きくありませんが、2ケタ成長が長期にわたって続くことが期待されている業界であるため、それに伴って大きく業績を伸ばす可能性を秘めています。
現在、ドローン業界は中国企業がリードしていますが、米中貿易戦争の影響で、中国企業を排除しようという動きが出ています。
日本企業の自律制御システム研究所にとっては追い風になる可能性があります。
短所
ドローン業界はDJIという中国の会社が8割程の圧倒的なシェアを持っており、自律制御システム研究所を含め、他の会社は後塵を拝しています。
DJIを超える技術力か低コスト性を実現しない限り、大きく成長することは難しいと思われます。
また、日本は利便性よりも安全性を重視する保守的な風土であるため、法律的な制約も多く、配送業などの顧客が二の足を踏み、利活用が他国に比べて遅れる可能性があります。
SLAMやAI技術はデータ収集が重要になるため、DJIなどの競合他社に比べて不利な状況での開発を強いられる可能性が高そうです。
また、SLAMと非線形制御を自社技術としていますが、これらの技術自体は割と古くからある技術で、競合も多いため、競合との差別化や研究開発力の強化が重要になってくると思われます。
SLAMは近年、自動車の自動運転にも応用できることから着目されており、IT系の企業や大学でも研究されており、かなり競争の激しい研究開発テーマです。
例えば、自動運転だと既存の自動車メーカーや自動車部品メーカーだけでなく、IT系の企業からの参入も多く、競争が激しい分野であるため、相対的に資金力の少ない会社・出遅れている会社は今後厳しくなる可能性があります。