「CLO」とは?リーマンショック再来?
CLOとは、Collateralized Loan Obligationの省略で、ローン担保証券のことを言います。
このCLOが次の金融危機危機の原因になるのでは、と言われています。
投資家であればCLOについて知っておいた方がいいでしょう。
目次
CLOとは?
CLOとはローン担保証券のことを言います。金融機関が事業会社に対して貸し付けた債券を証券化(権利を証券にすること)したものです。
ローンの元金と利金を担保にして発行される債券で、一般的に投資家は元金と金利を受け取ることができます。
つまり、元金と金利を受け取る権利が株のように売買されている、と解釈すればいいと思います。
また、CLOにはシニア債・メザニン債・劣後債といった支払い優先度が異なる債券があります(シニア債>メザニン債>劣後債、の順に低リスク)。
これにより、発行体が同じ会社でも異なるリスクとリターンのCLOが発行できるため、投資家の多彩なニーズに応えることができます。
CLOのメリット
流動性が高まる
CLOを行うメリットとして、簡単に売買が可能になって流動性が高まることが挙げられます。
金融機関からすると、元々は流動性の低い債券を証券化することで、市場性の高い債券にすることができます。
高利回り商品が多い
著名な大企業の場合、証券化せずとも通常通り社債を発行すれば資金を集めれます。
よって、主に信用の低い会社の債券が証券化されて、CLOとなります。
したがって、大企業の社債に比べると高利回りとなっています。
特に近年は各国の金融緩和の影響で、金利が世界的に下がる傾向があるため、高い利回りが得られるCLOの需要が伸びています。
リスクヘッジになりうる
信用の低い会社に対して大金を貸し付けることは大きなリスクとなりうりますが、流動性の高いCLOを活用して、国や業種を分散させて購入すれば、リスクヘッジが可能となります。
様々なニーズに対応できる
CLOにはシニア債・メザニン債・劣後債といった支払い優先度が異なる債券があります。
例えば、発行体の企業が倒産した場合、シニア債>メザニン債>劣後債の順に優先して支払いがされるため、異なるリスクとなります(利回りはシニア債<メザニン債<劣後債)。
よって、投資家は同じ発行体のCLOであっても、リスク・リターンを考慮して投資できます。
CLOが世界を滅ぼす!?その理由は?
原資産がわかりにくい
CLOの原資産価値は対象となる資産に依存します。
例えば、中小企業A社への債券を原資産としてCLOを設定した場合、A社が倒産してしまうと原資産価値が大きく棄損してしまう可能性があります。
そのため、どれだけのリスクを負っているかは、CLOの中身がどうなっているのかを把握して購入する必要があります。
しかし、CLOにはシニア債・メザニン債・劣後債といった支払い優先度が異なる債券があったり、発行体が小規模であることが多いため、リスク・リターンの評価がし辛く、実は多くの金融機関がこの中身を正しく把握できていないのではないかという疑惑があります。
特に収益機会が乏しい地銀の一部が高利回りを求めて、リスクを正しく評価できていないまま購入しているのではないかと言われており、日本国内でも金融庁が規制・監視等(リスク分析の深化や保有量の規制)に乗り出しています。
クレジット・デリバティブ契約の存在
CLOを販売する際、販売するいくつかの金融機関(証券会社、特定目的会社、信託など)では同時にリスクを保証するため、クレジット・デリバティブ契約を結ぶ場合があります。
クレジット・デリバティブ契約とは、事実上の保険のようなもので、発行体が倒産した際に一部の債務を金融機関側が投資家に保証する契約です。
そのため、同時にCLOが複数破綻すると、クレジット・デリバティブ契約を行っている金融機関が倒産してしまう危険性があります。
サブプライムローンと似た構造
リーマンショックのきっかけになったサブプライムローンは、原資産が住宅で、その住宅バブルが崩壊したことで崩壊に至りました。
被害を拡大させるきっかけになったものが、クレジット・デリバティブ契約や原資産が不透明だったことであると言われており、CLOは極めて似た構造になっていると言わざるを得ません。
ただし、リスク許容度に応じて分散投資をすれば良く、CLOは分散投資を担っている側面もあるため、CLO全体が悪いというわけではありません。
一方で、世界中で低金利環境であるため、CLO市場全体は爆発的に伸びており(現在約70兆円と言われている)、それに伴ってリスクも大きくなってきているのでは、と懸念されています。
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