各国がリブラに反対する理由…


2019年6月18日、facebookが独自の通貨「Libra」(リブラ)を発行することを発表しました。

しかし、各国の中央銀行や政府機関は反対する立場を表明しています。

ここでは、リブラに反対する理由をまとめます。

リブラ構想の詳細はこちらをご覧ください。

目次

リブラ構想に反対した国

日本、アメリカ、EU(ドイツ、フランス、イギリスなど主要国)、中国、インド、ロシアなど。

ほぼ全ての主要国の中央銀行や政府機関が反対を表明しています。

反対する理由

既存の金融業界へのダメージ

既存の銀行業界は送金(国際・国内)の際に手数料を得ていましたが、リブラが普及すれば収益が得られなくなる恐れがあります。

特に米ドルは基軸通貨で、国際決済で使われていますが、これが脅かされるようになるとアメリカとしては既得権益が奪われる恐れがあります。

トランプ大統領がtwitterで仮想通貨など信用できない、というツイートを繰り返すのもこういう事情が背景にあります。

金融政策への悪影響

現在は、各国の中央銀行が金融政策を行って、経済の調整を行っていますが、仮にリブラが既存の通貨に代わることとなると、中央銀行が有効な金融政策が行えなくなります

リブラはfacebookの中央集権体制になっているため、仮にリブラが主要通貨に代わることになれば、一民間企業が経済の調整を担うことになり、事実上facebookが世界を支配する構造になるのでは、という危険性があります。

マネーロンダリングの危険性

誰でもウォレット(銀行口座に近い概念)を作成でき、送金・着金が可能であれば、犯罪組織のマネーロンダリングなどに使われる恐れがあります。

現状は各国の銀行がマネーロンダリングを抑止する策を講じていますが、リブラが同等基準の抑止策を講じることができるかについては疑問です。

セキュリティ対策

システムの不具合や脆弱性をついて攻撃されるような事態が生じれば、リブラの残高を書き換えたり、窃盗したり、などの被害の可能性があります。

また、リブラの信用が失われることになれば、世界中の保有者が大きな損失を被ります。

プライバシー問題

facebookはかねてより個人情報を軽んじた行動が多い企業だと言われています。

例えば、2016年のアメリカ大統領選では、facebookの約5000万人のデータがトランプ陣営に不正に利用されていた、等の事件が明らかとなっています。

リブラを使えば、決済履歴等が得られるので、誰かどういう物に興味があるのかが丸わかりになります。この情報はプライバシーの問題になるため、この保護については大きな懸念点となります。

リブラ構想から離脱した企業

当初参加を表明していた企業群(参考サイト)はかなり強力なラインナップとなっていましたが、各国の反対を受けて、残念ながらいくつかの企業が離脱を表明しています。

2019年10月14日現在、VISA、マスターカード、イーベイ(アメリカのEC企業)、ストライプ(アメリカの決済支援)、メルカドパゴ(南米の決済)が離脱を表明しています。