日経平均はバブルだと思うが、なぜ高騰したのか?
本日、日経平均が29年ぶりに25000円を超えるなど、株価が高騰しています。
株価に関しては明るいニュースが多いのですが、実態経済はあまり良いとは言えず、実感のない株高が続いていることに不信感を感じる方も多いかとおもいます。
この記事では、日経平均の高騰要因についてまとめます。
目次
日経平均の現状
2020年11月10日の日経平均の終値は24,906円、日中には29年ぶりに25,000円を超えるなど、株価が高騰しています。
直近は大統領選挙という大イベントを消化したことと、新型コロナのワクチン完成への期待が膨らんだこと、などが要因だと言われています。
ただ、日経平均は新型コロナショック前の水準を上回っているため、割高感が感じられる水準です。
日経平均は割高
11月10日現在、日経平均は24,906円ですが、予想PER:23.3倍、PBR:1.16倍となっています。
近年の日経平均は15~18倍程度を推移する傾向があるので、上記の指標を見ると、現在の日経平均の水準はやや割高水準です。
予想PERだと新型コロナの影響を受けているので、割高になっているだけではないか、という指摘もあるかと思いますが、前期基準のPERで計算したとしてもPER:18.9倍、長期のPERと言われているシラーPERでも、23.3倍となっています。
しかも、これらの指標は加重平均の計算で、指数ベースでは予想PER:25.16倍、PBR:1.88倍となり、さらに割高の水準になっています。
なぜ高騰しているのか?
中央銀行による金融緩和
まず、中央銀行による金融緩和が最も大きい要因として挙げられます。
現在、日本だけでなく、アメリカ・EUなど他の先進国や発展途上国の中央銀行でも金融緩和が行われており、債券の金利がかなり低水準に推移しています。
債券金利が低いと、債券に投資をしてもあまり利回りが得られないため、投資家としては、債券金利以上の利回りが得られる見込みのある投資先を探さなければなりません。
したがって、株式は歴史的なPERで見れば割高水準であったとしても、債券の利回り以上のリターンが得られる見込みがあるのであれば、投資家は株式に投資せざるを得ない、という判断になります。
この根拠を基に株を買い進めるのはバブル相場の危険性があるので、将来的に中央銀行が利上げに踏み切る観測が出れば、一気に株価が下落する危険性があります。
TOPIXはそれほど…
日経平均は確かに25000円を超えて、29年ぶりの株高になっていますが、TOPIXで見ると、新型コロナ前より数パーセント低い水準です。
また、2018年1月の高値よりも1割ほど低い水準で推移しています。
日経平均はファーストリテイリングが1割程のウェイトを占めるなど、歪んだ指標であるため、時価総額に比例するTOPIXの方がより日本市場全体を表しています。
したがって、日経平均は確かに高くても、それはいくつかの会社の株価が高騰しているためで、日本市場全体はまだコロナ前の水準を回復できていない、と言えます。
海外投資家の買い戻し
世界最大の市場であるアメリカ市場の影響は大きく、世界中の株価に影響を及ぼしていますが、アメリカの取引時間帯には日本市場は開いていません。
そこで、海外投資家はAI(アルゴリズム売買)を使って、夜間に取引量の多い日経先物や日経先物関連のオプションを、機械的に売買する傾向があります。
その結果、正しいかどうかは別にして、海外投資家が買う時はTOPIXよりも日経平均が上がりやすく、海外投資家が売る時はTOPIXよりも日経平均が下がりやすい、という傾向があります。
CFTC IMMによると、11月第1週時点で海外投機筋は日経先物の売りポジションをとっていたのですが、予想に反して株価が上昇したため、損切のために日経先物を買い越さざるを得なかったものと思われます。
ただ、踏み上げ相場は長くは続かないので、年末頃には失速すると思われます。